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NPO法人弱視の子どもたちに絵本を

このNPOの活動について

平成26年度のはじまりに「子どもたちの声が、少しずつ届くようになりました。」

「弱視の子どもが楽しめる絵本がない」ならば、弱視の子どもに配慮した絵本作りに取り組もうと、2年の準備の後、NPOを発足しました。そして、早くも4年が経ちました。

新しい絵本の制作は、当初の想像通りで、簡単に姿をあらわすものではありませんでした。

しかし、今、私たちが考えているのは、新しい絵本の制作は部分に過ぎず、目の前の一人ひとりの子どもが本を読む、本を楽しむことができるようになることが、目的地であり、更には、その成長した先にも、自分の本を手にできる環境の社会であることがゴールなのではないか、ということです。そして、その途上に、新しい弱視の子どもの絵本の姿が見えてくるのではないかと考えるようになりました。

平成25年度から月1回「て、みみ、め、はな、こころ、あたまで読む?おはなし・ほんのひろば」というお話し会をひらいています。子どもたちとだんだん出会うことができるようになってきました。点訳と言っても、点訳本、原本の絵本に点字のタックペーパーを貼った本、絵本の各ページ間に点字をうった塩化ビニールシートを挟んで再製本した絵本、点字と墨字付きのさわる絵本、点図付きの点訳本などの多種類なもの、また、拡大字の本、デイジ―、テープ、マルチメディアデイジーなどの多媒体の本も、用意しています。パソコン、プレクストーク、I-padの体験。すばなし、手遊び、読み聞かせ、手づくり遊びなどをしています。それぞれの条件の子ども一人ひとりに、児童書を探し用意することは、簡単ではありません。子ども自身のことを、まず知らなければなりません。また、視覚・聴覚・身体・知的な障害などで「読む」ことに困難のある子どもたちの本が、通常の児童書から見れば、本当にわずかしかないのが現実です。更に、全国のどこの図書館や視覚障害者情報提供施設・団体に、どのような資料が、どのような形で所蔵されているのか、未だ、きちんと情報共有できていないのが現状です。ボランティアが製作している点訳、音訳が、登録されないまま数多くあるとも聞いています。見つけられない本に関しては、資料の製作をボランティアに依頼しています。時間も経費もかかります。この情報と資料数の貧しさで、子どもたちに十分な本を渡せなくて、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。

点訳、音訳、拡大本などの少ない現状下で、せめても、今のITの進化が、これまでよりも、読みの可能性を拡げていくことに、期待を持っています。パソコンやタブレットを利用して、字の大きさや色の変換、同時に音声もあるマルチメディアデイジーによる読書、自宅で資料をダウンロードできるなどの利便性も、進んできました。このような情報も、まだまだ親御さんや本人に届いておらず、その普及もしていかなければなりません。

出会っている重複障害の子どもの中には、点字を学ぶまでに、触る練習や言葉を増やす経験などが必要だと分かってきました。従来の本の点訳や音訳ではない、そのための手立てを考えることも、私たちの仕事だと今は思っています。  

どの子も、本を自由に選び、楽しく読める権利を保障されることが、私たちの活動の原点です。今後は、社会全体、図書館、出版での読書環境の充実への活動と、目の前の一人ひとりの子どもの成長を支援していく活動を進めたいと考えています。

たくさんの本がある豊かな時代にあって、配慮がないために読むことができない人が置き去りにされています。ことばはすべての子どものものであり、自分の字、自分の本をもつことは、命ある一人ひとりの子どもの尊厳にかかわることではないでしょうか。

以下、平成25年度の活動の報告と今後の予定です。

本年度には、広報ができていない私たちへのプレゼントがありました。阪急百貨店梅田店からチャリティ―ネットワーク「H2Oサンタ」と言う企画コーナーに紹介パネルの展示をするというお話がありました。大変思いがけないことでしたが、よい機会をいただき、感謝して引き受けました。さわる絵本の講習会で講師をお願いしていた木村恭子さんのお力添えをいただき、多くの方々に関心とご寄付をいただきました。

 本年度は、やっと、子どもたちと直に出会い、お話し会の企画を始めることができました。猛暑の7月、八尾市の作業所picapicaで、料理教室をし、第一航空のご協力でセスナ機の見学をしました。picapicaは、全盲のお子さんを育てた柏木順子さんが立ち上げられた福祉法人のレストランです。メニューは子どもたちのリクエストのハンバーグ作り、玉ねぎのみじん切りにも挑戦しました。お母さんたちは柏木さんとの懇談で、その経験を伺うことができました。

 その後、月1回のペースで、「て、みみ、め、はな、こころ、あたまで読む?おはなし・ほんのひろば」を開いています。お話しの語り、わらべうたや読みきかせ。時にはリクエストのあったチャーハンやポップコーンの料理をしました。毛糸編みの手作りでマフラーも作りました。1月、2月には、公募展BIGLABOアート水族館「水の中のいきものをつくる」に出品する作品を制作し、この作品は、3月13日から9月2日まで、兵庫県養父市NPO大屋アート村に展示されています。以下の写真の棚の上がその作品群です。

夏休みにはその会場地へキャンプに行こうと、計画をすすめているところです。作品作りには、長野県に住む若いアーティスト杉原信幸さんに協力していただきました。2月には「アフリカの太鼓・ジャンべをたたく」に、20人以上の子どもとそのご家族の参加があり、遠く京都、奈良、神戸からも来られました。総勢50人を超える楽しい音楽会になりました。民博おはなし村おんがく畑の方々に、ボランティアでジャンべ体験させてもらいました。

本年度には、特に数の少ないさわる絵本の普及のために、熱意ある講師木村恭子さんを得て、製作講習会をひらくことができました。講習会前には、吹田市立図書館で「さわる絵本展」を開いて、多くの方々に見て頂けたので、受講者20名を超えました。講習終了後も、有志が継続して、さわる文字カードや絵本の製作を始めています。さわる絵本での課題は、数が少ないこと、周知されていないこと、製作者と利用者の意見交流が十分に行われず、利用と要望が上手く循環していなかったことなどです。さわる絵本で成長した年長の方々が、いろいろな意見を出して下さっていて、保護者からの子どもの様子や希望、意見が届くようになってきましたので、うまくフィードバックしていこうとしています。

 本年度には、浦和子どもの本連絡会との共催で、南相馬市立図書館にて、「乾千恵さんの書展」を開催しました。乾千恵さんが提供して下さった「馬」のリトグラフを軸装して、南相馬市立図書館へ寄贈しました。被災地の方々と、貴重な出会いがありました。

 なお、平成26年度には、引き続き、「おはなし・ほんのひろば」の開催、子どもたちのゆたかな体験の場を作っていくこと、本と子どもたちをつないでいくあらゆることをやりたいと言う気持ちです。5月から始める予定のジャンべの会は、月1回の定期なものにしていく計画です。藤井容さんというプロのジャンべ奏者が協力をしてくださいます。その運営費に、目下頭をひねっています。前述の7月キャンプなどを計画しています。これから協力して下さる方を見つけたり、資金の計画を立てていきます。

今後の新しい試みとして、点訳絵本などの読みやすい形を検討していくこと、拡大本の講習会、こちらはきれいで見やすい拡大本を長年、製作している札幌のふきのとう文庫から講師を招きたいと思っています。遠方から来て頂くことになりますが、良い物を普及させたいと考えています。IT機器の利用について子どもたちの身近な大人が学んでおく必要を強く感じています。パソコン、タブレットなどの利用の学習会などを、行って行きたいと考えています。パソコンやI-padなど複数を購入できれば、体験用に貸出しができ、それぞれの子どもの状況に合った機器選びができるといいのですが、これらも多くの資金の調達が必要です。

 やっと活動の展開が見えてきた今、これまでの運のよい多額な寄付による運営でしのいだ体質に限界を感じています。私たちの活動への理解の輪をひろげ、さまざまなご意見やご協力をいただくことで、少しずつ確実な歩みを進めて、一人ひとりの子どもの成長の一助を担う存在になって行きたいと考えています。

 私たちの活動の何かに共鳴していただけることを願っています。

 どうぞ、よろしくお願いします。

出会う子ども、一人ひとりの素敵な笑顔や存在感が、私たちに、とても大きなエネルギーを与えてくれています。やっと、一人ひとりの子どもたちの声が身近に、少しずつ聞こえてくるようになりました。子どもたちがしっかりと望みの声をあげられるように、これからの将来にわたっても、どこでも、いつでも、望みの声をあげていいのよ、と言える社会であってほしいと思っています。どうぞ、集まりにもお越しください。

文責 事務局 田中加津代